Columnコラム
こんにちは。
前回で最終回を迎えたはずの「松竹大歌舞伎コラム」。
この度、担当・Kが戻ってまいりました!
というのも、今回の松竹大歌舞伎の演目は
「土屋主税」だけではないのです!!!!
でも、忘れていたわけではありません……!
泉岳寺までの9kmを歩き、達成感でいっぱいだっただけです……!
※前回のコラム参照
今回は、二つ目の演目である「汐汲(しおくみ)」について
ご紹介します!
~「汐汲」の基となったお話「松風」の簡単なあらすじ~
在原行平が天皇に怒られ、反省しなさいって
須磨(現在の兵庫県神戸市須磨区)へ流されます。
流された先で行平は、村の二人の姉妹(松風と村雨)と出会い、
恋をします。なんと、二人と!
しかし、天皇のお怒りが収まり、ゆるされた行平は都へ帰っちゃいます。
その時に、松の木に自身の烏帽子と狩衣を残していきました。
でも好きになった相手をそう簡単に忘れられるはずもなく、
二人の姉妹は亡霊となっても行平に恋焦がれ、
残された烏帽子と狩衣を身にまとい、踊り続けるのです。
行平~!なんと罪深き殿方なのでしょう……。
この「松風」の話の中では、その浦を訪れた僧により、
二人の姉妹は供養されたのでした。
か、悲しい!!
向こうで行平に会えたら、ビンタの一発でもかまして、
そのあと三人で幸せにすごしてほしいですね。
そんな話を基にした「汐汲」。
登場人物は、蜑女(あま)の苅藻(みるめ)と此兵衛(このへえ)。
あれ?今までの三人はどこに行った!?
「汐汲」は、「松風」をオマージュした作品というのが近いかもしれません。
元ネタを知らなくても充分楽しめますが、
知っていると更に楽しめる、といった感じですね。
ですので、登場人物もがらっと変わっています。
苅藻→浜辺で恋しい人を思う蜑女
此兵衛→苅藻の事が好きな漁師
三角関係……!!
此兵衛さんは、苅藻さんにあしらわれてしまいます。
苅藻さん、登場する際には狩衣を身にまとっているのですが、
それって、現代でいう「彼シャツ」ですよね!?
素敵~!!
誰かを想う、という表現は
今も昔もそんなに変わりはないのかもしれませんね。
そして見どころは、引き抜きではないでしょうか。
引き抜きとは、衣裳を一瞬にして変える演出の事です。
後見(舞台上で演技を補助する係)が俳優と息を合わせ、仕付け糸を引き抜き、
上に着込んでいる衣裳を取り去ると、下の衣装が現れる、といったものです。
いくつの衣裳が見られるか、数えてみるのも楽しいかもしれませんね!
これは余談なのですが、
在原行平が詠んだとされる和歌が、小倉百人一首に収録されています。
「たち別れ いなばの山の 峰に生(お)ふる
まつとし聞かば 今帰り来む」
この歌を使ったおまじないをご存知でしょうか?
短冊にこの歌を書いて、猫の皿を伏せてその下に置いておくと
いなくなった猫が戻ってくる、というものです。
いなくならないのが一番なのですが、
いざという時は試してみるといいかもしれませんね!
本当に、本当に今回で最終回です!
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
みなさまのご来場を心よりお待ちしております!
担当・K
前回はこちら↓
「土屋主税」について調べてみた!③下
続き(⁉)はこちら↓
担当・K 最後の感想
最終更新日:2023.09.17