担当・K 最後の感想

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Columnコラム

担当・K 最後の感想



去った9月24日(日)に大劇場で上演された松竹大歌舞伎「土屋主税」と「汐汲」を
歌舞伎初心者の担当・Kが……実際に観ました!
 
少しでもみなさまの観劇の手助けになればと思い始めたこのコラムが、
嬉しいことに沢山の方に読んでいただけているようで、
その感謝の気持ちを届けるために、既に2回の最終回(!)を迎えているにも関わらず
再び、戻ってまいりました!
 
はい、3回目の最終回でございます(笑)
どうぞ、これが本当の最後であると信じていただいて、
お付き合いいただけますと幸いです。
※急ぎのあまり、イラストが間に合わなかったので
 楽屋に描いたウェルカムイラストを最後に差し込んでおきます!!
 
まずは、初めて生で歌舞伎を観ての感想です。
観て……というよりは、「体験した」という感覚が強く残りました。
 
当日は、歌舞伎を知らない人でも100倍楽しむことができる「イヤホンガイド」の貸し出しも行われていました。
もちろん私も興味があり、使ってみたかったのですが
私は事業担当者・Kでもあるため、急な呼び出しに対応できるようインカムが必須だったので
使用することが出来ませんでした……。
しかし!私にはたくさん調べに調べた「知識」が少しはある!!きっと味方になってくれるだろう!
 
ここからは記憶を頼りに書き続けていくので、時系列が前後してしまうかもしれませんが
ご容赦くださいm(__)m
 
鴈治郎さんの取材でもあったように、舞台上に雪が降るシーンが何場面かありました。
季節を表現するための演出なのかな、と思っていたので
実際目の当たりにして衝撃だったのですが、「外」と「内」を表現しているのですね!
雪が降ると、ふわっと視界が舞台全体に広がり、外から訪ねてきた来客にスポットがあたったかと思えば
ふっと止んだ途端に、屋敷内での会話を一緒に聞いているかのような距離感を感じたり……。
当たり前すぎる演出方法なのかもしれませんが、初めて観たわたしにとっては
とても新鮮な体験となりました。
 
ところどころ、笑いがおきるシーンもありました。
これはおそらくですが、イヤホンガイドがなにか面白い解説を挟んだのだと思います。
イヤホンガイドを聞いていない私はまるで、おぼろげにルールは知っているスポーツ試合を観戦にきている観客。
周りが手を叩いて立ち上がれば、私も手を叩いて立ち上がり、
大きく落胆していれば、一緒に大きなため息をつく……。
ここで告白しておくのですが、何が笑いどころだったのかわからないまま、
一緒に笑ってすみませんでした……!
でも、楽しかったです!!
「お前が切腹をするなら私もしなければならない」のセリフは私の中で笑いポイントでした。
 
いよいよ、お隣さんの吉良邸が騒がしくなると、土屋邸から「あの」!!!
黒丸の中に■が三つピラミッド型に描かれている土屋家の家紋入りの高張提灯が
ぞろぞろと出てきて、吉良邸側に立てかけられました。
「高張提灯をともせ~!!!」 ※セリフは確かこんなことをいっていたような…
思わず客席から立ち上がってしまうかと思うくらい、なぜか興奮しまして、
心の中で「おおおおおお!!」と叫んでおりました。
 
そして、兄(勝田新左衛門)が討ち入りに参加していたことを知ったお園の、
「兄も討ち入りに参加しておりました」と何度も繰り返し、明るく喜ぶシーンは、
最後は四十七士が全員切腹したことを知っている私にとって
激しいコントラストとなり、涙が止まりませんでした。
 
今思い出しても、涙が……ちょちょぎれます……。
 
その後、25分間の幕間を挟み、「汐汲」の幕が上がります。
前コラムで書いたのですが、私がとても楽しみにしていた「彼シャツ」は、
登場しませんでした……!大変失礼しました!
同じ演目でも細かいところに違いがあることを知り、改めて奥が深いなぁと思ったのと同時に、
こうやってズブズブと沼にはまっていくのだと体感しております。
 
苅藻(みるめ)さん……。大変お美しいですね……。
あの恋に焦がれている時の、身体の芯はぶれないのに
全身が細かく震えているところから感じる恋慕は、ほんとうに美しかった……。
会いたくて会いたくて震えるのは、どの時代でも通じるものがあるのですね!
 
此兵衛(このへえ)さんとの息のぴったり合った舞も素敵でした。
何の解説も聞いていない私には、二人が仲良くじゃれあっているようにも見えたのですが
実際のところはどうだったのでしょう?
 
息が合っているといえば、「引抜き」も見事でした!
役者とタイミングを合わせることが出来るからこその一瞬の衣裳変え!
何枚着てるの……?重力が全く仕事してないんだけど……?
と思うほど、軽やかに舞っていて、そりゃ此兵衛も恋するよね~と納得しました。
 
いつかは幸せになってほしいですね!
 
そしてやはり、百聞は一見に如かず、どんなに調べて分かった気でいても、
「実際の体験」に勝るものはないです!
次は、「大向こう」や「幕の内弁当」など、更に本場の歌舞伎を“体験”したいです。
 
 
結びになりますが、
今回、短い間でしたがこんなにも歌舞伎の世界を楽しめたのは、
このコラムを応援してくださったみなさんのおかげです。
ありがとうございました。
 
また、どこかでお会いできる日を楽しみにしております!


 
担当・K

もう続かないよ~!!!!ほんとだよ~!!!!

前回はこちら↓
「汐汲」について調べてみた!

最終更新日:2023.09.27

松竹大歌舞伎 , 土屋主税 , 汐汲 , 担当K 伝統芸能