なはーとベイビーシアタープロジェクトレポート なはーとの巻「みんなのかたち モーイモーイあしびー」VO2

  1. なはーとベイビーシアタープロジェクトレポート なはーとの巻「みんなのかたち モーイモーイあしびー」VO2

Columnコラム

那覇文化芸術劇場なはーとでは、アートを通してあかちゃんと大人の新しい関わり方を発見する「なはーとベイビーシアタープロジェクト」を今年からはじめました。このプロジェクトでは、0歳~2歳のあかちゃんと、あかちゃんに関わるすべての大人たちが、お互いに心地よく影響し合える空間を、時間をかけてつくっていきます。
※ベイビーシアターとは、あかちゃんとおとながともに参加し体験する、新しい舞台芸術です。

12月からは、いよいよなはーとの巻。なはーとの小スタジオを舞台に、全5回のワークショップを通してみんなで「ベイビーシアター」をつくります。前回に引き続き今回は、2025年1月11日(土)に開催した2回めのワークショップの様子をお届けします。
※ワークショップの概要はこちら

「みんなのかたち モーイモーイあしびー」 2回目

 

今回から、メインアーティストの平良亜弥さん・津波博美さんのほかに、岩木桃子さんが身体表現、古謝麻耶子さんが音楽のアーティストとして加わりました!

まずは、参加者全員が布の素材でつくられた輪の中に入って、改めて自己紹介からのスタートです。前回(12月21日)と少し時間が空いたのもあり、まだ親子ともに緊張が伝わります。
「次は、名前を呼び合いますよ~。一人ひとり呼んでほしい名前を叫んでください。みんなは、その方のお名前を大きな声で呼んであげましょう。」
みなさん緊張しているかと思いきや、声が通っていて表情も個性的。あかちゃんたちも、自分の名前が大きな声で呼ばれ、何事かと目で合図。
「いいですね!では今度は動きをつけながら名前を言ってみますよ~。」
他の方と被らないように、一瞬で自分とあかちゃんの2ポーズをこなしていきます。リズムも取りながらの動き、お見事!言葉に頼らない表情や身振り手振りのコミュニケーションは、ぐっと親近感や安心感が増します。

合図にあわせて、からだを動かす、表現する

身体が温まり緊張が和らいだところで、空間全体をつかったワークが始まりました。アーティストの呼びかけをきっかけに、歩いたり止まったり、タイミングを合わせてみんなで同じ動きをしてみます。
慣れてきた頃に、鍵盤ハーモニカの即興音楽が聞こえてきました。
「では、音に合わせて自由に動いてみましょう。」
音楽が聞こえると、大人もあかちゃんも目に見えて動きに変化があり、表現が大胆に。

リズムに合わせ、予測できない動きをする保護者に抱っこされたあかちゃんたちは、みんなとっても楽しそう。保護者の動きを見て真似してみたり、保護者から離れて、輪の中をハイハイしはじめるあかちゃんも。

  「自由に動きながらも、他の人とぶつからないように360度周りを見わたせるように意識してみてくださいね。」

さらに、アーティストの声掛けで、植物になったり、うなぎに変身したり、空を飛んでみたり…想像力に体をゆだねる時間もありました。

紐と布を使って空間づくり

次のワークは、大きい会場をめいいっぱい使って空間づくり。上から吊り下げた紐にカラフルな布を結んでいきます。おとなの仕草をまねして、布をかけていくあかちゃんの姿も。

 

洗濯物を干すのと同じ動作のくりかえしで、わくわくする世界ができあがりました。布がむすばれたロープを持って動かすと、ゆらゆらと空間全体を回すこともできます。

 

あかちゃんたちは、空間に漂うカラフルな色に釘付け。布でいないいないばあを繰り返したり、紐を引っ張ってみたり、自分の好みのあそびを見つけていました。

ビーチボールにみんなのかたち

休憩を挟んで後半は、透明な巨大ビーチボールが登場。一人ひとりにマジックが手渡され、巨大ビーチボールのお絵描きがはじまりました。大きなボールにびっくりして近づけなかった子もいましたが、少しずつ自分のペースで近づいて、保護者と一緒に取り組みます。

 

次に登場した大小さまざまなシールにも、夢中になりました。小さな手で器用にペタペタとはっていきます。

 

向こう側が見えるけど行けないのはなぜだろう、と考えているようにも、光の反射を楽しんでいるようにも見えます。なかには、ボールには興味を示さずに、前半のワークで使用した紐でずっと遊んでいるあかちゃんも。あかちゃんの個性によって興味関心は違うため、使った素材は片付けることなく、そのままにして自由に遊べるようにしているアーティストの配慮があります。

素材のかたちを変えてみる

 

最後は、紐をぐるぐると巻いて、ボールに変化させます。みるみるうちにボールの山が出来上がりました。そしてこのぐるぐる巻きのボールを使って、即興でゲームをすることに!
みんなでアイディアをだしあった結果、二人ずつ相手の名前を呼び合いながらボールを投げ合うという独自の遊びに発展。

 

その場で自分たちがつくったルールで遊んでみるという体験は、まさに子ども時代のようです。保護者のみなさんも童心に返って、真剣に遊んでいる姿が印象的でした。ワークショップの後は、輪になって今日の感想をシェア。
「人見知りがあるが、ここにくると活発でいろいろな表情が見られて嬉しい」「大人もあかちゃんも自由な感じが心地よい」などという声を聞くことができました。

あかちゃんを見守るサポーターさんからも、「ほかの子育て支援施設では人見知りしている子が、今日は楽しく遊んでいたので驚いた」という意見もありました。
あかちゃんが自由にすごすためには、まずはおとながリラックスして参加していることが大切だと考え、今日は名前を呼び合うアイスブレイクからはじまりました。自分の名前をよばれることで、安心感が得られます。
また、空間全体をつかったワークは、立体的な体の動かし方や、空間の演出を意識することにつながります。

「みんなのかたち モーイモーイあしびー」第3回目のレポートも、どうぞお楽しみに!

ライター:普久原絵里子

最終更新日:2025.02.19

babytheatre