なはーとベイビーシアタープロジェクトレポート なはーとの巻「みんなのかたち モーイモーイあしびー」VO3

  1. なはーとベイビーシアタープロジェクトレポート なはーとの巻「みんなのかたち モーイモーイあしびー」VO3

Columnコラム

那覇文化芸術劇場なはーとでは、アートを通してあかちゃんと大人の新しい関わり方を発見する「なはーとベイビーシアタープロジェクト」を今年からはじめました。このプロジェクトでは、0歳~2歳のあかちゃんと、あかちゃんに関わるすべての大人たちが、お互いに心地よく影響し合える空間を、時間をかけてつくっていきます。
※ベイビーシアターとは、あかちゃんとおとながともに参加し体験する、新しい舞台芸術です。
12月からは、いよいよなはーとの巻。なはーとの小スタジオを舞台に、全5回のワークショップを通してみんなで「ベイビーシアター」をつくります。



前回に引き続き今回は、2025年1月18日(土)に開催した3回目のワークショップの様子をお届けします。 
ワークショップの概要はこちら

「みんなのかたち モーイモーイあしびー」 3回目

3回目ともなるとスタジオに慣れてきたのか、入ってきてすぐに床に置いてある素材で遊ぶあかちゃんに、リラックスした表情の保護者のみなさん。
「今日は、いろいろな楽器の音に耳を澄ませたり、どんな音にあかちゃんは反応しているかなどに注目してみてください。」
今回は特に、周りの人の動きや音を意識して、ワークに参加することを確認しました。

アイコンタクトで音をまわす

まず、音に慣れるために拍手回しのアイスブレイクからスタート。隣の人としっかりと目を合わせたら両手をパチン。もらった側もしっかりと相手にアイコンタクトを返したら、同様に拍手をまわしていきます。


あかちゃんは最初、音のなる手に注目しますが、こちらを見ていることがわかると視線をちゃんと合わせる様子が見られました。また、2周目になると上手に拍手をまわす様子も。あかちゃんはおててパチパチが得意なので、この遊びは日常でもすぐに取り入れられそうです。

今度は拍手をハンドベルに変えた応用編。一周したら、「せーの」で全員一斉に鳴らしたり、止めたりして遊んでみます。
「では、合図をせずに周りに合わせてやってみましょう。」
アーティストの声掛けに、保護者に不安そうな表情が浮かびます。ところが何回か繰り返すうちに、あかちゃんも一緒に参加していると思えないほど、音が止まった時間がありました。全員がぴたりと動きを止めた瞬間、参加者同士に一体感が漂い、その空気感は非常に心地よいものでした。

巨大ビーチボールを使ったワーク

ワーク前半では、巨大ビーチボールが登場し、全員で紐をほどいたり、ボールの上に乗ったり、アーティストの古謝さんの即興演奏を楽しんだり、思い思いに過ごしました。

ひとしきり遊んだら、床にごろん。身体の上を巨大ビーチボールが通過します。柔らかいボールの感触や心地よい音の中、手足をいっぱい伸ばして、特に大人が一番気持ちよさそうです。

休憩を挟んだ後半は、素材を身に纏うことからはじまりました。前回のファッションショーでの経験を経て、どの保護者もその感性を迷うことなく、自信を持ってデザインを表現しています。
すべて身につけたら、前半の音合わせの要領で、合図無しでジャンプを揃えてみます。


先ほどとは違い、全身を使った動きはやっぱり難しい!笑いが起きながらも、周りを見渡して集中している様子が伝わります。ひときわ大きなジャンプにもチャレンジ!

音に合わせてモーイモーイ

ここで空間がガラッと変わります。音楽に合わせて登場したのは、巨大クラゲ。
「ここは海の中。泳いでいるうちに空を飛び、宇宙まで行って地上に戻ります。みなさんも音に合わせて自由に身体を動かしましょう。」


海の中の生物と化した保護者はくるくるまわったり、腰をかがめて歩いてみたり、音に合わせてあかちゃんを揺らしたり、感じるままに動き回ります。

アーティストから動きに関する指示はありませんでしたが、海が泡立つようなコポンコポンという音が消えると、保護者も手を広げ空のイメージへと動きが変化。やがてアップテンポな音が聞こえてくると、クラゲも保護者もほぼ同時に踊り出しました。自由でありながらも、音に合わせて動くことでひとつの作品に見えてきます。
また、ワークを重ねたことによって、より自然に自己表現や感情を解放する様子が感じられました。

ワークショップの後は、輪になって今日の感想をシェア。
「動きや音に対して、あかちゃんでもこんなに敏感に反応するんだ、と反応に目が釘付けになった。」という声や「みんなで空間をつくっているという感じがした」、「子同士で遊ぶ様子が見られた」という声などを聞くことができました。

普段は人見知りのあるあかちゃんも、”ここは楽しい場所”という認識をしているという嬉しい報告もいくつかあり、「コミュニティ」としての居心地の良さも見えてきた回となりました。

次回はいよいよおひろめ会に向けたリハーサルです。「みんなのかたち モーイモーイあしびー」第4回目のレポートも、どうぞお楽しみに!

ライター:普久原絵里子

最終更新日:2025.02.21

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